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「山口県"牛"を守る会」の活動

中村 正行

会の設立

 昨年九月のBSE発生以来、牛で生計を立ててきた我々畜産農家は、今まで経験したこともない窮地に陥りました。経済的苦悩は当然のこと、将来の不安や、牛と共に社会から孤立したような精神的苦痛を多くの仲間が感じたことでしょう。そんな中、年が明け、「沈んでいてもどうにもならない、前向きになって、自分達に今出来る行動をとろう!」と、肥牛農家の有志数名と畜産農家の主婦グループ「ピーチクラブ」が連携し、子牛生産農家、酪農家にも呼びかけて立ち上げたのが、「山口“牛”を守る会」です。

活動1(知事への要望書提出)

 1月18日に出来たこの会では、二つの活動を柱に考えています。一つは、我々の直接の声を、思いを行政に届けるために、BSE発生の原因究明、農家の経営維持のための支援等を内容とした要望書を知事に手交しようということです。県に対し、物心両面で苦悩する我々の現状を理解し、対応して頂くと同時に、国に対しても、問題の早期解決のために迅速かつ強力な対応を取るよう、強く働きかけて欲しいというものです。
 要望書提出のための署名活動は、多くの牛に関わる農家の賛同を得て、僅か1ヶ月の間に県内1200戸の牛関連農家中750戸の同意と2000名を超える署名を集め、この署名を添えて、2月21日、県庁において、二井知事に要望書を手交することが出来ました。ご協力頂いた皆様方に厚く御礼申し上げます。

活動2(牛肉消費回復に向けて)

 もう一つの柱は牛肉消費の回復ための活動です。昨年末には、県、全農、農協等で、牛肉の販売、試食などいろいろな消費回復のための努力をして頂きました。しかし、我が国を覆うこの不況下、加えて一年の中でも牛肉の販売が低迷するこの時期、消費回復には程遠い状況にあります。こんな中で、山口“牛”を守る会としては、牛に関わる農家の立場でできること、時間的ゆとりも少なく、資金も乏しい我々に出来ることを考慮した活動を考えています。その一つは、消費者との交流を図ることで、ピーチクラブの会長である井上さんを中心にその活動をしています。畜産関連の諸機関から情報を頂き、BSEあるいは、牛肉の流通の問題など、消費者と語ることによって、互いに理解を深め、BSE発生以来広がった距離を縮めようと考えています。
 また、「我々畜産農家こそ最も理解ある消費者である」として、自ら国産牛肉買い、あるいは贈ることを呼びかけることにしました。取り敢えず3月の子牛市場でそのポスター掲示しました。追って、県内の農協他諸機関にも掲示をお願いする予定です。いずれにせよ、我々は「BSEに負けるな、元気を出して頑張ろう!」と叫びたいのです。
 「強く願って行動すれば、必ず願いは叶う」と言った有名な経営者がいましたが、私達は“牛”に関わる農家としての誇りと夢を持って、前向きに行動していくべきだと思います。間もなく始まるサッカーのワールド・カップが、熱い興奮と感動で日本の不況を吹き飛ばし、夏の陽射しのまぶしい頃、牛肉の消費回復の陽射しも燦燦と輝いていることを強く願って、みなさん、頑張りましょう!

防府市西浦 肉用牛肥育経営
山口“牛”を守る会 代表

 


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