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全共を振り返って

小杉 真樹

<はじめに>

 9月26日から30日まで岐阜県で第8回全国和牛能力共進会が開催され、山口県から種牛の部6頭、肉牛の部3頭を出品し、過去にない好成績を収めた。その中でも、種牛の部若牛4区及び肉牛の部9区若雄後代検定牛群では並みいる先進県を抑えての優等賞上位入賞を果たした。そこで、現地での取組状況と受賞の経過を報告する。

第8全共山口県出品牛成績
出 品 区
出 品 者
名 号
父牛
審 査 結 果
住 所
氏 名
種牛の部
3区
油谷町 永松 忠 よしたかかつ 平茂勝 優等賞13席
4区
阿東町 中野 徳 よしえき 平茂勝 優等賞 4席
生産局長賞
6区
阿東町 橘  泰義 よしかつしげ 平茂勝 1等賞 5席
阿東町 小田 隆司 あやめ 平茂勝  
阿東町 滝  智寿 ひらにしき 平茂勝  
阿東町 山根 定雄 ひらはるしげ 平茂勝  
肉牛の部
9区
阿知須町 福嶋 経男 豊安北木 豊安福 優等賞3席
阿知須町 福嶋 譲二 日置豊国進 豊安福 生産局長賞
阿知須町 福嶋 譲二 生安吉 豊安福 脂肪交雑賞
「生安吉」号は優良枝肉賞

<力強い声援> (種牛会場にて)

 本県出品牛は、種牛の部の会場である岐阜県畜産研究所で3区の体型審査を初めに、4区、6区と審査に臨んだ。私を含め関係者が心配していたのは、審査会場での出品牛の歩行、正姿勢がミスなくできるかである。特に、6区は4頭の群審査であり、一頭でも足並みが乱れれば、リズムが崩れてしまい大きく審査に影響することは必至である。しかし、私たちの心配をよそに審査時の歩行、正姿勢に全く問題は見られなく、むしろ、出品者が長時間の審査に耐えられるかを心配するものとなったが、その心配も無用となり、ほんとうに頭の下がる思いであった。4区の審査では中野さんの出品牛が上位に上がり、優等4席に選ばれた時には、小さな歓声があがった。先進県が上位にいくと大歓声があがったが、大きさでは負けるがそれに勝るとも劣らない力強い声援であった。

よしえき号と中野さん

第4区
(若雌17〜20か月齢未満)  「よしえき」号
優等4席
父:平茂勝
母の父:紋次郎
出品者:中野 徳

<5番、11番、11番> (肉牛会場にて)

 肉牛の部の会場である飛騨食肉センターでは、福嶋さん親子や関係者による枝肉確認が行われた。枝肉展示会場へ入れない私は、固唾を呑んで待っていた。福嶋さんが出てこられ、第一声で「5番、11番、11番だった」と聞いて思わず「やった」と言ってしまった。審査は明日になるが、この枝肉成績なら審査成績もかなり上位になると確信し宿舎に戻った。次ぎの日、成績発表があり優等3席、しかも脂肪交雑賞のダブル受賞であること、さらに3頭のうち「生安吉」号は優良枝肉賞を受賞していることが発表され、関係者全員で受賞の喜びに浸った。
セリが開始された。山口県から購買者として光市の福島さん(肉の福十)が参加され、本県出品の52号牛をセリ落とされた。県内に持ち帰り、自店舗で全共出品牛としてPRし販売されるとのことであった。そして、今回最優秀枝肉賞の岐阜県出品155号牛のセリが始まった。セリ値はどんどん上昇し、会場は異様な雰囲気に包まれた。セリ値が6万円位まで達した時、機械が対応しなくなり、手ゼリが始まった。106,100円(落札価格約4千5百万円)で岐阜県の購買者がセリ落とした時、会場はわれんばかりの拍手と歓声の海になった。マスコミにもかなり取り上げられていたが、おそらく、二度とこのような光景を見ることはないと思った。

優良枝肉賞「生安吉」号 第9区(若雄後代検定牛群)
「生安吉」 号
優良枝肉賞
父:豊安福
母の父:平茂勝
枝肉重量 483kg
ロース芯 58cm2
BMSNo.

11

格 付 A5
出品者:福嶋 譲二

<豊安福>

全共における 「豊安福」号の好成績については、子牛市場や各種イベント会場にてパンフレットやリーフレットを通じてお知らせしているが、今後は産肉能力を最大限に発揮させるための適正交配の周知徹底を行うこととしているので、一層の供用推進をお願いするところである。なお、本牛は、クローディン16の保因牛であることから交配する雌牛の選定には十分注意するよう併せてお願いする。

<感謝、敬意、祈念>

今回好成績となった最大の要因は、出品者の方々の努力である。種牛においては、調教、栄養度を管理するための飼養管理、牛の手入れ等で並々ならぬ努力をされたと聞いている。肉牛においては、飼料の食い込み、暑熱対策を中心とした夏場の管理、昼夜を問わない観察等想像を絶する努力をされたと聞いている。改めて、心より感謝するところである。
 今回の好成績のもう一つの要因は、「平茂勝」号の供用があったことである。鹿児島県から特定種雄牛として凍結精液の導入が始められ、この中で「平茂勝」号の導入が決定され、この産子を保留することで体積の向上が図られたからである。特定種雄牛の導入に多大なご尽力をしていただいた方々に対しても敬意を表するところである。
 最後に、本県肉用牛農家の方々が今回の好成績を目標とされ、今回の好成績が次期全共につながるように祈念して終わりとする。

山口県農林部畜産課 生産班


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