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肉用牛の放牧で美しい農村の景観づくりをしましょう

岩国・田布施・徳山農林事務所畜産部

 農家の高齢化等による労力不足から耕作放棄地面積が平成7年の2,497haから平成12年には3,375haと1.3倍に増加しており、その解消対策が強く求められている。
 耕作放棄地の解消と肉用牛管理の省力化を図ることを目的に柳井市伊保庄で耕作放棄地で肉用牛の実証展示放牧を実施し、一定の成果が認められたことから東部地域の7市町、12箇所で放牧に取り組み7.1haの耕作放棄地を解消した。
 東部地域での耕作放棄地放牧の成果を基にメリット、推進方法などを紹介します。

1 放牧予定地のチェック

1. 放牧地の地形(傾斜、段差、石垣)と水の確保など放牧が可能か。
  2. 土地の調整(利用権設定、境界の確認)や地元との調整は済んでいるか。
  3. 水路への影響や畦の崩壊などへの理解が得られているか。

2 放牧の成果

1. 放牧による省力化と低コスト化により肉用牛農家での規模拡大や耕種農家で新たに牛を導入する等肉用牛振興が図れる。
  2. 5月から11月まで放牧が可能であり、利用されない野草を活用することにより飼料費が節減でき、飼料自給率の向上が図れる。
  3. 大島郡に多いミカンは、葉も果実も牛がよく食べて牧養力も高く、冬期の放牧に適しており荒廃ミカン園を勝代することで周年放牧も可能である。
  4. 放牧は、電気牧柵などの利用により施設の設置や牛の管理が容易であり、牛を飼った事のない人でも実施できる。
  5. 耕作放棄地に対する農家の意識が変わると共に牛の放牧による農地の景観保全が評価されるなど牛の必要性を地域にアピールできた。
  6. 環境問題の厳しい都市近郊や急傾斜地で放牧しても特に問題はなく、“草と水があれば何処でも”放牧は可能である。

3 留意点

1. 地域住民とのトラブルを起こさないため地域住民(自治会など)との事前協議が必要。
  2. 電気牧柵への馴致は飼養者以外の人(JA、市町村、畜産部など)が行うこと。
  3. 放牧終了時の捕獲施設(スタンチョン)を設置すること。
  4. ダニ防止対策の薬剤塗布(バイチコール)を毎月1回行うこと。

4 今後の方向

 放牧による牛の舌刈りを活用した美しい農村の景観づくりを目指して、地域の中核農家の牛と電気牧柵施設のレンタル制度を確立し、高齢化が進み労力不足により荒廃ちが増加しつつある中山間地域を中心での普及拡大を推進する。

放牧に必要な用具(写真)

電牧線など 飲水施設
電牧器 警告表示板

放牧施設の直接経費(表)
放牧施設の直接経費の表

放牧準備状況(写真)
電機牧柵設置・馴到・殺ダニ剤塗布

実証展示放牧(開始時)
実証展示放牧の開始時の様子

実証展示放牧(終了時)
実証展示放牧の終了時の様子


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