山口型放牧研究会が発足

山口県畜産試験場 大城健一郎

  肉用牛の放牧により遊休農林地の解消を図ると共に農村の景観保全などを進めることを目的として放牧を実践している先進的な農家の呼びかけにより「山口型放牧研究会」が発足し、設立総会と記念シンポジウムが平成15年12月19日に山口市で開催されました。
 山口型放牧シンポジウムには、県内の農家や畜産関係者に加えて、中国四国各県からの畜産関係者ら約300名を集めて盛大に開催されました。
 山口県では、平成元年に全国に先駆けて油谷町で始めた棚田を活用した水田放牧を一貫して推進し、これまでに蓄えた放牧技術を踏まえて、平成13年から柳井市で耕作放棄地を利用した移動放牧としてさらに発展しております。
 この度、山口県で水田放牧を開始して15年目となる節目の年に、水田放牧と移動放牧をまとめて「山口型放牧」とブランド名をつけて「研究会」を発足し、県内はもとより全国に情報を発信するなど農村景観を守るための牛の必要性をPRして山口型放牧を普及拡大していきます。
 この山口型放牧は、“いつでも、どこでも、だれでもできる”をキャッチフレーズに推進しており、牛を持たなくても牛や放牧施設がレンタル利用でき、高齢者でも管理できます。また、肉用牛経営の省力化、低コスト化及び耕作放棄地の解消、農村の景観や農村文化の保全などへの貢献が高く評価され、県内に広く普及拡大しており、全国的にも注目されています。
 牛を放牧利用することによって、耕作放棄地が蘇り、さらには、利用されていない草資源を活用することにより無料の粗飼料が確保でき、低コストで省力的な肉用牛経営が可能であり、肉用牛の増頭にも結びつくと思われる。
 県内の耕作放棄地は、年々増加して平成12年には全耕地面積の8%の3,375haありますが、この中で放牧利用は3%の約100haであり、当面は全市町村で10%程度の利用を目指して山口型放牧を推進します。
 この研究会は、牛の放牧で地域振興のために尽くす有志の方々を対象としています。したがって、会費は徴収せずに緩やかな結びつきによる研究会とし、放牧技術の向上、会員同士の情報交換や情報ネットワークの構築などを目指します。
 研究会の当面の主な活動は、夏期の放牧を実施している現地での研修会、年1回の放牧シンポジウムの開催、ホームページによる情報発信及び山口型放牧マニュアルの作成と会員への配布を予定しております。
 3月末の会員数は232名ですが、まだ研究会に加入されていない人でこの研究会の目的にに賛同し、自分たちの地域活性化に真剣に取組み、放牧技術の取得に意欲のある方は最寄りの農林事務所畜産部にお申し込みください。
 山口型放牧を県下全域で進めて、どこでも牛の見える風景づくりを目指したいと考えていますので、研究会会員の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
 
設立総会
元永会長
約300名の参加者
放牧セットの説明
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