県内の和牛繁殖経営の中で多頭化を目指す場合、肥育部門を併用する経営者がけっこういますが、同じ和牛でも飼い方はまるで異なるので、両方成績の良い方は少ないものです。今回紹介する経営者も繁殖主体経営にするように助言を続けていた方ですが、ようやくその決意をされ、そのための手段として、牛舎近くに広がる耕作放棄地への放牧を開始しました。ここは、日本海に接する半島ですが、暖流のため冬もほとんど霜がなく、夏の雑草の多さは凄いものです。その旺盛な雑草を資源として活用する和牛放牧は、この地域の農業の基本になるように思います。
今日は、朝10時半から牧柵を張り始め、夕方には3頭の牛を放牧することができたので、その過程をご覧下さい(2003.7.4.総括畜産コンサルタント清水誠)。
機材を持ち込んで、ポールを埋め込んでいきます。 間隔は5メートルで二手に分かれます。 今回のポールは足で踏み込むスタイルではなく、円柱の ポールです。水田ですから、容易く差し込めます。 |
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今回の放牧地は、棚田の上部に位置しますので、こんな 石垣が何段もあります。 |
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こんな傾斜にも張っていきます。 | |
下に見える広い田んぼは田植えが終わって綺麗です。 小学校も見えます。 |
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ポールを差し込んだら、次は電牧線を張っていきます。 今回は地面から50cmと100cmを目安に張っていきます。 |
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電牧線を留めるクリップです。これは仮止めの様子で、張る 時は輪になっているところから取り外し、ポールとクリップの 間に2箇所はさみこみます。 |
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今回導入した電牧器。電源は電柱から確保します。 | |
これから入牧するお母さん牛です。やはりダニは怖いので バイチコールを振り掛けます。 |
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さらに、もう一つ大きな仕事は、電牧に触ってはいけない ことを牛に教えることです。 農林事務所職員が、鼻の頭に電牧を接触させると、飛び 上がってしまいました。ちゃんと学習したことでしょう。 |
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今回使った電牧線の長さは450mくらいなので、面積は 1.2haくらいにはなるでしょうか。棚田なので、草の面積は もっとあるでしょう。 真っ先に食べ始めたのが、チガヤと葛の葉っぱ。これから どんどん生えてくるので、腹いっぱい食べて元気な子牛を 産んでください。 |