「放牧による荒廃地の系時的変化」
山口県岩国農林事務所
岩国市内の兼業農家から、3年程度耕作放棄している水田で放牧による景観回復の依頼を受け、山口県畜産試験場の放牧経験牛の貸し出し制度を利用し、放牧による景観変化をほぼ1週間毎に写真撮影し追跡する事ができましたのでお知らせします。
岩国市四丁目 約60a(終了時には90a程度まで拡大)の棚田(14枚)に経産牛2頭を放牧。
写真−4 岩国市放牧開始時3週目
今回の放牧により、畦畔の状態も全く不明だった耕作放棄地が棚田の姿を見せた時、地元自治会を始め、関係者の驚きは大きなものがありました。 今回の成功は、管理者が子供時代に牛に接触した程度だったことから、あまり採食している草種等に気を遣わず、草量の減少を楽しみにしていた事にあるようです。 牛は、飢餓感に苛まされながら電気牧柵への恐怖から脱柵もせず否応もなしに牧区内のカヤの枯葉までも口にしたものと考えられます。その結果、放牧した荒廃地が元の棚田の状態に蘇ったといえます。 管内では現在、岩国市の状態を見た錦町の肉用牛農家が牧草の刈り取りに不便な傾斜地約60aの草地に(写真−13、14)、美和町では、年3〜4回の除草をしていた約90aの樹園地(栗園:写真−15、16)で妊娠牛の放牧による低コスト飼養と牛による除草の試みがそれぞれ開始されています。