見島ウシは朝鮮半島から渡来した姿をそのまま伝える和牛の原形をなすものとして、昭和3年に天然記念物に指定されました。その性質はおとなしく、粗食、粗放にも耐え、小格で飼料消費量が少なく、力が強いため、狭隘な耕地が多い見島の農業を支える役畜として適していました。現在は保存対象家畜として繁殖牛78頭が飼養されていますが、牛肉の輸入自由化後見島ウシの経済的価値が注目されています。平成10年には保存会、農協、行政、学識経験者をメンバーとして見島ウシ保護振興委員会が設立され、見島ウシの保護と経済的活用の両面から検討が行われています。
見島ウシの飼養は、隠岐、角島等の他の島嶼部と同様に、季節風が強く農作物の栽培や用材の育林に適していない土地を利用して放牧が行われています。最近は飼養農家が減少して1戸当たりの頭数が増えたため、晩台山と木ノ上に公共放牧場が建設され、4月から11月まで30頭を1群として、まき牛放牧が行われいます。残り牛は舎飼いか個人の放牧場に放牧され、平成10年からは増大する耕作放棄水田の有効活用と景観保持の観点から、棚田を活用した放牧場整備が計画的に行われています。