中山間地域農業の活性化に重要な役割をになっている肉用牛を多頭化をする場合、問題点として糞尿による環境保全の問題があげられます。
山口県むつみ村では、各関係機関協力のもと、糞尿処理というデメリットを、耕種農家にとっての有機資源として活用することで、地域農業の振興に大きく寄与するとともに、堆肥利用による地域循環型農業を確立しています。
むつみ村
むつみ村では、役場、農協、家畜保健衛生所、普及センタ−等からなるむつみ村農業連絡協議会が中心となり、地域の振興活動を図ってきた。
特に、肉用牛については、家畜保健衛生所が中心となり、地域農業振興における肉用牛の役割と重要性を唱え、農協等と連携を取りながら、肉用牛農家の指導と、事業の展開を図ってきた。
また、農業連絡協議会の中においても、農業振興を図るには、土づくりが必要であることがあげられ、畜産役割の重要性が認識された。
これにより、畜産に関するさまざまな事業が取り組まれ、肥育センタ−を利用した土づくりを中心とした、地域循環型農業が本格的に取り組まれた。
昭和55年から昭和57年の間に肉用牛の団地化を図るために国庫補助事業により、共同利用畜舎12棟とJA堆肥センタ−の建設を行った。
当初は、耕種サイドへの堆肥利用の理解が不十分なこともあり、堆肥が上手く循環していなかった。
そこで、農協、役場、家畜保健衛生所、普及センタ−からなるむつみ村農業連絡協議会が組織され、堆肥を利用した農業振興について幾度も協議が行われていた。
その頃、耕種部門においては、「トマトの連作障害」が大きな問題となっていた。
畜産部門では「糞尿処理」、耕種部門においては「トマトの連作障害」が問題となっており、家畜保健衛生所より、糞尿処理方法として、堆肥による地域内還元。普及センタ−からは、トマトの連作障害防止として、有機堆肥利用が提案された。
家畜保健衛生所、普及センタ−は、連携して有機堆肥利用による「土づくり」の必要性を提言し、役場、農協を中心に、地域内での循環型農業の体制づくりが行われた。
また、農協を中心に、既に設立されていた「トマト部会」に堆肥の利用価値を理解してもらい、堆肥センタ−の堆肥の流通経路の確立を図り、現在では、地域の土づくりに欠かせなくなっている。
堆肥センター全景
敷料には、製材所、ライスセンターから供給されるオガクズ、モミガラを利用
堆肥センターに堆肥を運んだ後、敷料を持ち帰る。
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堆肥センタ−内部
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ライスセンタ−
選果場で選別されるトマト
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堆肥は、トマト栽培の土づくり
に有効利用されている
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