平成12年度優秀畜産表彰事業の推薦優良事例:[経営部門]肉用牛経営 福浪昭夫


 

水田耕作放棄地の活用による和牛放牧経営

山口県長門市俵山郷
福 浪 昭 夫

 当牧場は、山口県の西北部の中山間地域に位置し、耕作条件の悪い棚田等が数多くあります。棚田は、機械化がむずかしく、苛酷な労働を必要とします。また、この地区は、高齢化が進んでおり、それに加え、猪、鹿、猿等の被害も多いことから、耕作放棄される水田が年々増える傾向にあります。
 このような、耕作放棄地に牛を入れ、耕作放棄地をシバ草地として、有効活用し、農村の環境維持を行っている福浪牧場を紹介します。

概要

 福浪昭夫さんは、昭和2年生まれの73歳です。まだバリバリの農家です。福浪さんは、奥さんと2人で、80aの水稲栽培と肉用牛繁殖経営を行っています。
 現在は、成雌牛4頭を飼っており、あと1〜2頭の増頭も考えています。

福浪さん夫妻
福浪さん夫婦と牛

 

特色ある取り組み

 耕作放棄された休耕田に、牛を放すことにより、耕作地の荒廃を防いでいます。
現在では、野シバの移植により、草地として活用しています。
 また、野シバ草地は、牛との相性は、思いのほか良好で、牛に踏まれ、食べられることにより、野シバは広がり、現在では野シバ草地として定着しています。
 条件の悪い耕作放棄地を、シバ草地として利用することにより、次のような恩恵を受けています。
  @土地の有効利用を図っている。
  A耕地の維持ができる。
  B農村の景観の維持を図っている。
  C牛の飼養管理にかかる手間を省いている。
  D野生動物の出没を防いでいる。
  E牛の健康に良い。
 さらに、福浪さんは、積極的に研修会、交流会等に出席したり、県内外に視察に行ったり、視察を受け入れたり、農家間のコミュニケーション作りにも寄与しておられます。

放牧当初の様子 放牧後の野シバ草地の様子
放牧当初
耕作放棄して1、2年経つと上の写真のようにように荒れてしまう。
現在野シバ草地
牛を放し、野シバを移植して3年ぐらい経つと、現在のような野シバ草地となる。

  福浪さんは、周年放牧を行っています。朝は餌を与えた後、放牧場に放牧します。そして、夕方になると、牛舎の中に入れています。
 分娩1ヶ月前には、母屋横の牛舎に入れて、事故が起こらないように注意しています。

視察にも慣れっこの牛たち
多くの視察にも慣れっこの牛達・・・放牧風景