山口県畜産試験場
候補種雄牛「嘉高法」号の子牛1セット(9頭)の和牛産肉能力間接検定が平成12年11月23日に終了し、11月30日に行われた枝肉調査において脂肪交雑3.0(BMSNo.9.6)と、山口県で造成した種雄牛の中で「豊安福」号に並び過去最高の成績を出しました。 |
「嘉高法」号
●「嘉高法」号のプロフィ−ル
本牛は、1995年に阿東町上田潔さんが生産され、阿東町橘泰義さんによって育成されました。
父「高栄」号は、肉質改善に抜群の遺伝能力を発揮した「安福」号の直系牛として名を馳せており、母「やまざくら」号も島根県の名牛「第7糸桜」号の血を濃く受け継ぎ、産肉能力も高く、本牛の全兄弟牛でBMS
No.11がでています。
29ヶ月齢時の体高は143cmで体積・均称、中躯、腿に優れ、登録得点は84.1点です。
●間接検定の審査結果
供試牛9頭の生体審査では、資質や前駆、体上線に共通的な優点が見られ、肋張りや骨締まりに惜しまれる点が見られました。
肥育開始時の9頭の平均月齢は8.3ヶ月で、その平均体重は238kgでしたが、終了時の20.3ヶ月には平均体重は584kgになりました。また、1日当たりの増体量は、平均0.95kgで、当場が種雄牛造成に取り組んで以来32セットの中で歴代3位の成績を示しました。(平成10年度全国82セットの平均は0.93kg)
●枝肉調査結果
枝肉成績は表1のとおりで、脂肪交雑平均が全国トップクラスとなる3.0(BMSNo.9.6)を示し、バラの厚さの平均値も6.8cmで全国平均を上回り、枝肉重量は、全国平均程度で歩留等級は全頭がA等級に格付けされました。
また、供試牛は兵庫系、島根系、鳥取系やそれらのハ−フと多彩でしたが、その中でこのようなバラツキの少ない脂肪交雑は、本県の肉質改良に大いに貢献すると思われます。
表1 枝肉成績(間接検定)
供試牛
No.
|
母 牛 の 血 統
|
枝肉重量
kg
|
ロ−ス芯面積
(cm2)
|
バラ厚
cm
|
脂肪交雑
(BMSNo.)
|
規 格
|
父
|
母
|
1
|
義 久
|
新 敏
|
290.0
|
42
|
6.3
|
3 (10)
|
A−5
|
2
|
幸 春
|
誠 隆
|
363.2
|
40
|
7.4
|
3 (10)
|
A−4
|
3
|
紋 次 郎
|
第3吉岡
|
334.1
|
43
|
5.7
|
3− ( 9)
|
A−4
|
4
|
益 高
|
義 久
|
371.0
|
45
|
6.9
|
3(10)
|
A−5
|
5
|
第3吉岡
|
糸 光
|
392.8
|
|
7.2
|
2+(8)
|
A−4
|
6
|
菊 谷 福
|
角 崎
|
363.7
|
43
|
7.0
|
4(11)
|
A−5
|
7
|
糸 北 鶴
|
気高富士
|
357.4
|
55
|
7.2
|
2(7)
|
A−4
|
8
|
安 福 栄
|
糸 晴 波
|
380.2
|
47
|
6.4
|
3(10)
|
A−5
|
9
|
宝 福
|
紋 次 郎
|
345.8
|
47
|
7.2
|
4(11)
|
A−5
|
「嘉高法」号間接検定平均
|
355.4
|
15
|
6.8
|
3.0(9.6)
|
|
全国平均
|
356.0
|
45
|
6.3
|
2.6(8.8)
|
|
注)全国平均:全国和牛登録協会 平成10年度産肉能力検定(82セット 703頭)
●「嘉高法」の期待育種価
枝肉6形質中、枝肉重量をはじめ脂肪交雑など4形質の項目でAクラス(県平均上位 1/4以上)となっています。
表2 期待育種価
項目
|
枝肉 重量
|
ロ−ス芯 面積
|
バラの厚さ
|
皮下脂肪厚
|
歩留基準値
|
脂肪交雑
|
期待育種価
|
28.856
|
3.928
|
0.507
|
0.007
|
0.536
|
0.726
|
評 価
|
A
|
A
|
A
|
C
|
B
|
A
|
6号牛(20.5ヶ月齢)A5(BMSNo.11) 9号牛(21.4ヶ月齢)A5(BMSNo.11)
●交配上の留意点
本牛は、脂肪交雑で安定した成績が得られています。特に雌牛が兵庫系のハーフで好成績を出していますので、このような繁殖雌牛をお持ちの方は、脂肪交雑の改善にご活用ください
。
最後に、当場では引き続き農家の皆さんの御要望に応え得る種雄牛の造成を目指して頑張っていきますので、指定交配の推進等に更なる御協力をお願いします。
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