養豚報告書

Ⅲ　バイオリアクターシステムによる豚の汚水処理について

畜産試験場　　　　　　　　　研究員　田　村　貢　一　　

　地域との混住化で畜産経営における環境保全対策は、今後ますます重要な課題となっています。

　こうした状況の中で畜産汚水等の処理については、過去様々な取り組みが行われてきましたが、必ずしも満足のいく成果を収めているとはいえません。

　ところで、最近『自然浄化法』 (バイオリアクターシステム) と呼ばれる汚水の浄化処理法が注目されてきています。

　バイオリアクターシステムは、土壌菌群の機能を高めることにより自然界における浄化作用を促し、汚水浄化を図る方式であり、従来から利活用されている『標準活性汚泥法』に比べ、窒素及び燐の除去率が高く、悪臭発生の低減といった特徴を有しているといわれています。

　そこで当場では肥育豚換算約300頭規模 (原水量2.9ｔ／日、 BOD5,000mg／ｌ、 COD2,700mg／ｌで設定) の汚水処理施設を設置し、その効果を確認するとともに、処理水の再利用等について検討しましたのでその状況をお知らせします。

図１　バイオリアクターシステムの基本的な流れ (模式図)

　豚舎からの汚水は、まず調整槽へ入り、調整槽では以後の処理がしやすいようBOD、 COD等濃度の調整をします。

　曝気槽では、土壌菌群に必要な酸素を送り込み、そのはたらきにより浄化処理を促進します。
　沈澱槽では上澄み液と沈澱物とに分離し、上澄み液は貯留槽で一時的に貯留し、その後器具等の洗浄、暑熱対策等に利用します。沈澱物は培養槽へ送り土壌菌群の浄化能力をさらに高め、再び曝気槽へ送り、浄化作用を促進します。

畜試で利活用しているバイオリアクターシステム

○畜産試験場における検査結果
　昭和45年に水質汚濁防止法が制定され、表１のように排水基準が定められています。
　当場のバイオリアクターシステムの水質検査結果は以下のとおりです。

表－１　排水基準（水質汚濁防止法）

項　目許　容　限　度

ｐＨ 5.8～8.6

ＢＯＤ 160㎎/l（日間平均120）

ＣＯＤ 160㎎/l（　〃　　120）

Ｔ－Ｎ 120㎎/l（　〃　　 60）

Ｔ－Ｐ 16㎎/l（　〃　　　8）

　BODは、図２のように原水で3,000mg／ｌでしたが、最終的には0.9mg／ｌと大幅に低減しました。 (除去率99.97％)
　BODとは、生物化学的酸素要求量のことで水中の微生物が水中の有機物質を分解して安定化するために必要な酸素の量を示した数値で、水中の有機物質汚染の程度をあらわしたものです。

　CODは、図３のように原水で2,490mg／ｌでしたが、最終的には20mg／ｌと大幅に低減しました。 (除去率99.20％)
　CODとは、化学的酸素要求量のことで水中の有機物質によって化学的に消費される酸素の量を示した数値で、 BOD同様水中の有機物質の汚染の程度をあらわしたものです。

　T－N (窒素含有量) は、図４のように原水で1,750mg／ｌでしたが、最終的には62mg／ｌと低減しました。 (除去率96.46％)

　T－P (燐含有量) は、図５のように原水243mg／ｌでしたが、最終的には0.2mg／ｌと低減しました。 (除去率99.92％)

　バイオリアクターシステム設置後、堆肥の臭気試験を実施した結果、アンモニア濃度は約10分の１に減少しました。 (表２) 表－２　アンモニアの臭気濃度

区　　分濃　　　度

バイオリアクターシステム
を使用した堆肥 2,400 ppb

バイオリアクターシステム
と使用しない堆肥 26,000 ppb

注　ppbは、10億分の1

　以上のように、バイオリアクターシステムによる汚水の浄化作用が実証されたことから施設設置経費等の低減を図ったミニプラントの実証試験 (Ｈ８～９年度家畜ふん尿処理利用新技術実用化調査事業) を実施しています。

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BODは、図２のように原水で3,000mg／ｌでしたが、最終的には0.9mg／ｌと大幅に低減しました。 (除去率99.97％) 　BODとは、生物化学的酸素要求量のことで水中の微生物が水中の有機物質を分解して安定化するために必要な酸素の量を示した数値で、水中の有機物質汚染の程度をあらわしたものです。
CODは、図３のように原水で2,490mg／ｌでしたが、最終的には20mg／ｌと大幅に低減しました。 (除去率99.20％) 　CODとは、化学的酸素要求量のことで水中の有機物質によって化学的に消費される酸素の量を示した数値で、 BOD同様水中の有機物質の汚染の程度をあらわしたものです。
T－N (窒素含有量) は、図４のように原水で1,750mg／ｌでしたが、最終的には62mg／ｌと低減しました。 (除去率96.46％)
T－P (燐含有量) は、図５のように原水243mg／ｌでしたが、最終的には0.2mg／ｌと低減しました。 (除去率99.92％)

Ⅲ バイオリアクターシステムによる豚の汚水処理について

Ⅲ　バイオリアクターシステムによる豚の汚水処理について