T 養豚経営の心構え

獣医学博士  金 矢 正 志    山口県畜産会(非)コンサルタント  

1. 日本の養豚の現況

  日本の多頭養豚の歴史は極めて短く、 高々3〜40年の経験しか、 持ち合わせていない。 1960 (昭和35) 年を契機として、 自立経営農家の育成を目標に農業基本法が成立し、 国を挙げての食料自給や畜産振興の施策が積極的に推進された。

 養豚関係では、 1961年より大型種 (L.W.H.など続いてD.) 種豚が英、 米、 デンマーク国等より活発に輸入され、 従来の中ヨークシャー種の純粋繁殖とは異なる多品種間の雑種繁殖が取り上げられ、 まさに百花撩乱という姿になってきた。 経営形態も 「分娩枠」 の普及により少頭数子取り経営から大規模一貫経営に移行し、 豚肉の国内生産量は1970 (昭和45) 年には、 779千トンと40年生産の1.9倍に達した。 養豚の多頭化に伴い、 労働生産性の向上を指標に各種の技術革新が遂行されたが、 無看護分娩の奨励や、 繁殖豚の無差別な群飼、 放牧養豚、 肉豚の大群飼育、 不断給餌、 更には排泄物の水洗放流 (活性汚泥処理方式の過信) などが、 新技術として浮上し、 粗放飼育により生産性を著しく低下させながら、 なお労働投入型の精密経営を軽視する風潮が各地で見られるに至った。

 30年という短い多頭養豚の歴史は、 不幸にも技術的に未知の領域を多数残したまま経過し、 養豚の隆盛は専ら旺盛な国内の需要によってのみ、 支えられて来た感がされた。 表−1によれば、 本年の需要は1965年次の5.5倍 (2,242千トン) に達するのに、 国内生産は減少気味で、 同年次比較で3.2倍止まり (前年比△3%) と予測されている。

 養豚農家の高齢化と後継者不足、 輸入増による枝肉卸売価格の低迷など、 養豚経営に厳しい季節を迎えているが、 養豚経営の成否は常にその生産量の多寡にあることを再確認し、 慌ただしく進められた多頭化の技術を検討、 1頭でも多くの生産のために一層の努力を傾注すべき時期となった。

  …10年も前のアメリカの雑誌に、 育成率引上げのため、 管理者が分娩舎を定時に巡回し、 母豚に密着して寝ている子豚"Kamikaze piglet"を、 圧死から守るため熱源の下に救護する記事があった。 彼らも細心の注意を注いでいる姿に感嘆させられた。    

                 Pig international FEB/83

表−1 食肉需給料の推移
年 次 区 分 牛 肉 豚 肉 馬 肉 羊 肉 鶏 肉 合 計
1965
s.40
生 産 量 216,261 407,238 19,896 2,018 204,340 849,753
輸 出 量 73 16 0 0 2 91
輸 入 量 15,449 100 18,629 107,716 6,135 148,029
231,637 407,322 38,525 109,734 210,473 997,691
指  数 100(23) 100(41) 100(4) 100(11) 100(21) 100(100)
1975
S.50
生 産 量 352,664 1,039,642 5,283 243 739,873 2,137,705
輸 出 量 10 3 0 0 3,274 3,287
輸 入 量 64,176 177,875 66,210 261,655 21,540 591,456
416,830 1,217,514 71,493 261,898 758,139 2,725,874
指  数 180(15) 299(45) 186(3) 239(9) 340(28) 273(100)
1985
S.60
生 産 量 555,256 1,531,914 5,418 261 1,353,090 3,445,939
輸 出 量 62 9 0 2 2,838 2,911
輸 入 量 220,372 270,173 60,062 158,939 105,292 814,838
775,566 1,802,078 65,480 159,198 1,455,544 4,257,866
指  数 335(18) 412(42) 170(2) 145(4) 691(34) 428(100)
1990
H.2
生 産 量 549,479 1,555,226 4,737 395 1,391,220 3,501,057
輸 出 量 57 143 10 0 7,330 7,540
輸 入 量 529,171 489,670 51,003 105,120 301,356 1,476,320
1,078,593 2,044,753 55,730 105,515 1,685,246 4,969,837
指  数 466(22) 502(41) 145(1) 96(2) 800(34) 499(100)
1995
H.7
生 産 量 601,473 1,321,992 8,430 362 1,281,852 3,214,109
輸 出 量 69 85 0 0 2,797 2,951
輸 入 量 927,647 828,776 30,951 84,401 549,252 2,421,027
1,529,051 2,150,683 39,381 84,763 1,828,307 5,632,185
指  数 662(27) 528(39) 90(0.6) 91(1.4) 868(32) 564(100)
1996
H.8
(予測)
生 産 量 609,600 1,292,000 8,300 350 1,219,967 3,130,217
輸 出 量 100 170 0 0 3,000 3,270
輸 入 量 999,000 950,000 27,000 83,000 575,000 2,634,000
1,608,500 2,241,830 35,300 83,350 1,791,967 5,760,947
指  数 664(27) 539(38) 95(0.6) 76(1.4) 858(33) 536(100)
1997
H.9
(予測)
生 産 量 567,150 1,249,360 8,600 355 1,253,849 3,079,314
輸 出 量 73 120 0 0 2,300 2,493
輸 入 量 918,620 842,860 29,029 80,000 545,000 2,415,509
1,485,697 2,092,100 37,629 80,355 1,796,549 5,492,330
指  数 640(27) 514(38) 97(0.6) 73(1.4) 855(33) 550(100)
注 1鶏肉は成鶏肉を含む中ぬきと体重、他は枝肉ベース、輸入肉は牛・豚は70%の歩留まり、羊肉50%、馬肉65%で枝肉換算した。
  2計は、国内生産量−輸出量+輸入量=需給量
  3H7までは農水省「食肉需給の推移」に、H8.H9は食肉通信社推定による。
  4指数はS40年比較、( )は年次の割合

2. 養豚経営の基本的な心構え

 (1) 豚 の 椎 骨 数

 豚の椎骨数に就いての報告は、 既に多数の研究者によって取り上げられてきた。

 愛知農試・椎葉純一らによれば、 系統豚アイリス造成中6世代にわたるランドレース種3,819頭の調査で、 @胸椎では14−17型のうち16が最も多く、 15は16の1/2 、 14と17は少ない。 A腰椎数では5−7型で6が最も多く、 7.5の順であった。 B従って胸椎、 腰椎の合計は20−23型で、 21−22型が全体の95%であったと報告している。 (日研豚誌17−3, 1980) 高等な脊椎動物の中にあって、 体型の基本を定める椎骨の数が、 一定していないとは驚くべきことで、 豚の本質に触れた、 象徴的な事実と考えられる。

 豚は種として固定されたものでは無く、 個体、 個体が異なった個体だと考えなければならない。 豚飼育にあたる基本的な心構えとして、 個体 管理こそが生産を引き出すものと理解すべきであろう。

 (2) 豚 の 遺 伝 力

 一方、 動物の遺伝力は、 質的形質 (毛色や外貌上の特徴、 奇形や致死因子、 悉無的 [all or none] な出現をするもの) で高く、 これに反して量的形質 (人の利用する多くの能力、 例えば体の大きさ、 成長速度、 生産性、 産肉量、 強健性など、 遺伝と環境の両者によって支配され、 連続した変異をしめす形質) では低いとされてきた。

 これら量的形質の表現型 (P) は遺伝子 (G) と環境効果 (E) によって相加的に定められると、 されている。

 この関係は P = G + E で示されるが、 豚の遺伝子は概して小さいため、 養豚経営にとっては環境効果 (E) のもつ意義が極めて大きなものとなる。

 豚の遺伝力については古くから、 Craft博士の米国アイオワ育種研究所における研究が知られているが、 1983年日米養豚シンポジュウムにて発表したネブラスカ大学のK.Johnson博士の数値と合わせ表−2に概数を示した。

表−2 豚の遺伝力
遺 伝 力 項   目 W.A.Craft R.K.Johnson
高 度 屠 体 長 60% 50%
ハ ム の割合 60%  
脂 肪 の割合 60%  
背脂肪の厚さ 50% 44%
背腰の大きさ 50%  
中 度 赤 肉 の割合 35% 45%
飼 料 効 率 30% 35%
増 体 重 30% 38%
5ヶ月齢体重 25%  
低 度 離 乳 時体重 15% 19%
一 腹 産子数 10% 15%
離 乳 頭 数 10% 15%
一 腹 総重量  5% 20%
生 時 体 重   20%
21 日 齢体重   20%
W.A.Craft
  アイオア豚育種研究所
R.K.Johnson
  ネブラスカ大学

 豚の遺伝力は概して低く、 豚の個体は遺伝以外の環境に基因する要素が、 大きく左右して作り出されるものと理解される。 遺伝支配が小さいほど、 飼育条件 (母子の管理、 環境温度、 飼料の質と量、 疾病対策の良否など日常管理の全て) が大きく影響する。

 豚は日常の管理が生み出すもので、 より精密な個体管理を徹底する飼育方式こそが、 生産を増大させる。 養豚先進国としてのヨーロッパ諸国や、 アメリカでもconfinement system (閉じ込め飼育) が主流となっていることは、 この間の事情をよく物語っているものと、 言えよう。

3. 養豚技術の発展方向

  わが国の養豚産業に国際競争力が期待される所以は、 質の高い労働力により、 多くの生産量が確保されて、 原価引下げの可能性が持たれている点にある。 このため更に一層の生産技術の開発・発展が待たれている。

 養豚従事者の質と高さと豊富な労働力は、 他国に類を見ない条件であり、 これを活用し、 精密な個体管理の徹底と厳密な衛生環境の維持が、 望まれるところである。

 (1) 用途別豚舎の独立と、 All in/outの実行

   一貫経営農場では、 規模の大小こそあれ、 成豚舎・分娩舎・交配舎・妊豚舎・子豚舎・肥育舎などの各豚舎 (又は部屋・室) が設備されている筈である。 (候補豚育成舎・導入検疫舎・隔離舎も設備することが望まれる) … 付図参照 …

 これらの豚舎は、 機能的にも衛生的にも独立したものが良く、 特に分娩舎、 子豚舎ではAll in/outを確立することにより、 慢性伝染病の母子感染を防止する。

 各豚舎は、 内部を小単位に仕切り夫々独立させることも、 経営規模に合わせてAll in/outを可能にする優れた方法であろう。

 (2) 繁殖母豚のつなぎ飼育 (繋留飼育) による個体管理の徹底

   繁殖母豚の管理は厳密な個体管理をおこない、 生産能力を最大限に発揮させることが重要であり、 単房に経歴を明瞭にした個標を掲示し、 1頭づつつなぎ飼育を行う。 管理や設備の上から [腹帯] よりも [ネックチェーン] 方式が簡便であり、 繋留された豚は1〜2日のうちに馴化し従順となり、 管理は極めて容易となる。

   ヨーロッパで定着しているこの技術が、 アメリカで見受けられないことは、 群飼と比較して管理労働力が余計に掛かると、 言うことであろう。

 (3) 子豚・肉豚の大小・性別区分による小群 (12頭以下) 飼育の徹底

   一貫経営の弱点は、 長期飼育中に個体間のバラツキが拡大し、 発育不良豚が経営の重荷となる点にある。 発育の精度を保つためには、 性別の区分を基本に大小を仕分け少群飼育とし、 早期に弱小個体の選別飼育を行うことが必要である。

 (4) 子豚育成ケージ (フラット・デッキ・ケージ) の奨め

   フラット・デッキ・ケージは、 すでにヨーロッパやアメリカで普及し、 離乳後から70日令頃までの子豚育成に使用されている。 わが国でも最近広く普及されている。 金網床の高床ケージに1u当たり子豚5〜6頭を収容し、 体重25〜30kgまで飼育する。 (肥育舎移動前に仕切りを外して2群を1群とし、 肥育群を編成する) 平飼いに比べ育成率は高く、 特に雌子豚発育は良好で、 多頭飼育に適した管理方式である。 最近床材が種々検討され、 実用されている。

 ただし、 高度の集約的管理方式であるため、 管理者の注意が収容全頭に及ぶこと、 導入時25℃、 移動時20℃の室温を維持し、 出来れば暗室飼育が良いとされている。

4. 養豚経営安定のために

  今や世界の主要な畜肉の輸入国と化しつつある日本の現状を、 容認していて良いものだろうか。 特に国内生産の豚枝肉は、 既述の通り1994年以降年率3%以上の減となり、 逆に輸入は年率8, 22, 10%増と見込まれるに至っている。 まさに国内の養豚危機は、 消費の減退によるのでなく、 輸入豚肉との価格競争そのものにある。

 コスト引下げのため何をなすべきであろうか。

 従来、 規模拡大のみに求めた経営合理化策を、 現状維持のなかで1頭でも多くの生産を引き出すことに集中すべきであろう。

 (1) 母豚回転数の引き上げ

   子豚の生産時原価は、 母豚の年間飼育費を、 生産子豚総数で除した金額で計算される。 従って生産頭数が増加すれば、 1頭当たり生産時原価は引き下げられる。 回転数の如何によっては、 生産時原価が大きく変動し、 肉豚出荷時1頭当たり利益をも上回ることを知るべきである。 (表−3)

表−3 母豚回転数と子豚生産原価
(頭・円)
回 転 数 1.8 2.0 2.2 2.4
一腹産子数 年産頭数 生産原価 年産頭数 生産原価 年産頭数 生産原価 年産頭数 生産原価
  6 10.8 13,835 12.0 12,452 13.2 11,244 14.4 10,376
  8 14.4 10,376 16.0 9,339 17.6 8,490 19.2 7,782
 10 18.0 8,301 20.0 7,471 22.0 6,792 24.0 6,226
 12 21.6 7,141 24.0 6,226 26.4 5,660 28.8 5,188
注 (1)平成5年農水省「子豚生産費調査」により計算
(本調査は5年度にて中止された)
  (2)母豚10頭以上の経営全国平均
  (3)母豚年間生産費(二次)総額 149,419円
    (対前年 △3,595円)
 内訳  家族労働費     35,812円
     その他生産費   113,607円

 (2) 離乳後母豚の管理方式の改善

 離乳日の同一な母豚を交配舎に移動し、 数頭づつ群飼する。 この場合豚房には充分な敷料を与え、 闘争防止のため飼槽に仕切り柵を設け、 更に隔離用のストール1個 (群編成時特に強弱の激しい個体を収容する) を設備し、 必ず隣接房に♂を飼育する。 発情再起を促進するため、 ♂を活用することは、 近年各国で再確認されている。

 離乳後母豚の群飼と♂の活用について、 わが国の報告例を掲げる。

  i) 飼育方式と雄豚利用が発情再起に及ぼす影響     (静岡豚試 曽根  勝)

    接 触 区 15頭群飼   (柵越しに♂)    平均発情再起日数  7.7±4.8

    視 覚 区 15頭ストール (通路を隔て♂)       〃     22.6±8.7

  ii) 離乳後の飼養管理方式と発情再起 (交配) までの日数 (群馬畜試 石井 泰明)

    単飼ストール 朝夕♂を当て刺激 7日まで 14日まで 21日まで 22日以上

                226頭  23.0%   55.3%  69.5%   30.5%

    群飼2〜5頭一群飼育 〃 336   47.2    85.5   91.5    8.5

 (3) 育 成 率 の 向 上

 子豚育成の基本は、 適切な温度管理と清潔な環境の維持、 愛情をもった注意深い日常の飼育にある。

  i) 温 度 管 理

 豚は日令により適温帯が大きく変動する。 このことを飼育者は充分に理解し、 常に豚舎内温度の適否を、 注意しなければならない。 (温度計は養豚家にとって欠くべからざる、 管理器具である。)

 表−4に豚の適温帯を示した。 狭い分娩房の中で、 温度要求の異なる母と子が同居していることを、 忘れてはならない。 特に新生児は、 他の動物に比し著しく高い温度を要求しており、 分娩直後の体表付着羊水の清拭や、 給温など一連の看護はその後の成育に決定的な影響を与えるので、 是非看護分娩を実行すべきである。

表−4 豚の適温帯
適 温 哺 乳 子 豚 子 豚 中  豚 成 豚
0〜3日 4〜7日 8〜30日 20 kg 45 kg 90 kg ≧180 kg
33〜28 28〜25 25〜22 21 20 ≧18 16〜10
豚の高さで室温を図ろう。温度計は欠くべからざる管理器具である。

  ii) 分娩前後の管理

   *消毒済み分娩舎への、 母豚移動は分娩前2週間前 (最小限10日) とし、 新しい環境に母豚が馴化し、 かつ所在の細菌類 (厳重な消毒が実施されても完全無菌とはならない) に対する抗体産生の時間的余裕を与える。 移動時豚体の水洗消毒をする。

   *分娩舎は出入りを制限し、 無用者の入室を禁ずる。

管理者には専用履物を準備し、 必ず靴の履き換えを行う。 更に入り口に消毒盤を置き、 かつ、 豚房の出入りは消毒盤を通過するなど、 常に細菌類の伝播防止に留意する。

   *母豚は移動後駆虫、 分娩3日前より減食、 当日絶食、 分娩後は逐次増量し4日から定量給与、 さらに7日から飽食とする。 (日量6kg程度) 4産以上のものは制限給餌とし体重減少を7kg以下とする。 5産体重200kgを目標とし、 太り過ぎ厳禁。

   *産子は娩出後直ちに羊水を清拭し、 保温を第一に行う。 臍帯の切除、 犬歯の除去産後の確認をする。 弱小個体は2日間哺乳介助する。

   *子豚は生後7〜10日の頃、 急速な発育に伴う生理的貧血と、 鉄欠乏症の貧血に見舞われる。 このため鉄剤投与が予め行われ、 その発生を防止するが、 未熟児など発育不良のものについては、 貧血症状を見ながら再度投与するなど、 特に留意したい。

  iii) 二腹分娩の奨め

 分娩後2〜3日の、 隣接する豚房の間仕切りを除去し、 二腹の子豚を一群として管理する。 (母豚は夫々の分娩枠の中で、 起居する) このことは、 母豚の泌乳を旺盛にし、 子豚の発育を促進すると言われている。 離乳後の群 編成にも有利性が認められるので、 試みるべき方法であろう。

 (4) 60日までの管理が肉豚の将来を決める

   日令と180日令体重との相関性  (林兼産業・三好ら 32回日本養豚研)

    日 令      ♂      ♀        備    考

   生  時    0.246     0.016     (1) 生時と各日令時体重

    7日令    0.180     0.258       と180日令時相関係数

    25日令    0.415*    0.421*  

    60日令    0.874**   0.500**   (2) * 関連性がある

    90日令    0.889**   0.512**     **非常に関連性あり

    120日令    0.913**   0.980**

    150日令    0.926**   0.861**

 各日令時の体重と、 180日令時体重との相関性は、 60日令以降非常に高まる。 特に♂では著しい相関が見られ、 この時点で全てが決められると言える。 出生から60日令迄の管理の重要性を示すものであり、 「性別・大小グループ分け」 管理方式が大きな意義を持つことが認識される。

 養豚経営の基本は、 “如何に生ませ、 如何に育てるか” (故 栗原 武氏) にあるとされながら、 多くの農場では必ずしも実現していない。 当面1母豚あたり年間肉豚出荷頭数23頭以上・枝肉生産原価360円を目標に、 一層の努力を重ね困難な時代を乗り切りたいものである。

  [参考文献]

  金矢 正志   「低豚価時代を乗り切る養豚技術」    1987

         鹿児島県畜産会  冬期畜産大学テキスト

    〃     「養豚経営の展望と課題」        1995

         山口県畜産会    普及啓蒙資料

    〃     「養豚経営発展のために」        1996

         中央畜産会     経営情報 No. 79

付 図
養豚の 「閉じ込め」 飼育施設…アメリカ クレイ社の事例

(私見追記)     




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