第7回全国和牛能力共進会をおえて

山口県家畜改良協会 山 崎 真 久  

 

第7回全国和牛能力共進会の概要について

 開 催 テ ー マ  育種価とファイトで伸ばす和牛生産

 主    催  社団法人 全国和牛登録協会

 参    加  全国37道府県

 期    間  平成9年1月30日〜平成9年9月15日

 最終比較審査  平成9年9月11日〜平成9年9月15日

  会   場     種  牛          肉  牛

         岩手県滝沢村       岩手県紫波町

         岩手県産業文化センター  岩手畜産流通センター

  出 品 頭 数  1区〜9区 282頭     10区、11区 150頭

 開 催 の 狙 い  全国和牛能力共進会は、外貌だけでなく経済能力をも考慮しての出品を狙ったもので、特に今回は「育種価とファイトで伸ばす和牛生産」のテーマを掲げ、当面の改良課題である産肉能力を「育種価」で条件づけることによって、産肉能力が保証されたなかから選抜された出品牛で争われる中で、種牛能力と産肉能力が確認されるという従来の共進会とは異なる画期的な共進会です。

 

本県の出品について

    山口県出品区    出品頭数     主 な 出 品 条 件

 4区 若雌の1      1 頭  ◎両親の脂肪交雑及び皮下脂肪厚の育種価が

                   県平均の1/2以上。

 5区 若雌の2      1 頭  ◎出品者は常時繁殖牛5頭以上を飼養。

 8区 繁殖雌牛群区    4 頭  ◎和牛改良組合単位で3産以上の成雌牛4頭

              +     を1組。

            (子牛2頭) ◎本牛の脂肪交雑及び皮下脂肪厚の育種価が県平均の1/2以上。

                  ◎本牛の繁殖成績が初産30ヵ月以内、分娩間隔400日以内。

                  ◎4頭の近縁係数が3%以上。

 11区 父系去勢肥育群区  3 頭  ◎同一種雄牛の産子去勢牛3頭を1組。

                  ◎父牛の脂肪交雑及び皮下脂肪厚の育種価が県平均の1/2以上。

 第6回全共(大分県)の反省を踏まえ、平成6年5月に第7回全共山口県出品対策協議会を山口県及び関係5団体で設立、第7回全共での好成績を目指して出品体制が整えられました。

 第7回全共は、産肉能力を「育種価」で条件づけし、外貌だけでなく経済能力をも考慮しての出品という理想的な共進会ではあるが、出品する立場とすれば大変厳しい共進会で、それに加え開催地が岩手県という遠隔地であるため、多額の経費負担それに、心理的な負担という今迄にない大変な共進会となりました。

 出品牛すべてに育種価条件が加わるため、各県の育種価への取り組みや飼養頭数の多少によって選抜対象牛の頭数に大きな差がついてしまいます。

 山口県の育種価判明率は、40%と全国的には高いほうですが、母牛頭数が少ないため判明頭数は1,771頭となり、単純に1形質の育種価が平均以上の頭数は、1,771×1/2=885頭と非常に少なくなります。実際には育種価は2形質で、これに生年月日や性別等の条件を加えると対象頭数は数える程となり、従来どおりの取り組みでは戦わずして勝負がついてしまうような状況の中での出品でしたが……

 その結果は、優等賞に4区、5区の若雌牛2頭が入賞、1等賞に11区去勢肥育群が入賞、2等賞に8区繁殖雌牛群が入賞しました。このことは、出品者の皆さんの技術と熱意・努力の成果と思います。

 このうち8区の繁殖雌牛群については、個体毎の調教はいうまでもなく、4頭の横並び・縦並び等群としての調教も必要となってきます。そのうえ4頭のうち2頭は子牛を連れての出品となり、出品者や関係者の方々のご苦労は多大であったことと察します。また、出品条件に合うような産肉能力・繁殖能力しかも体型の3拍子揃った雌牛を、阿東町1町から出品できたのは、地域の牛群レベルの高さと、出品体制を支える皆さんの熱意があったからだと大変感動しました。

 

出品牛褒賞一覧表

 4区 若雌の1     優等賞「ふくとくよ」   油谷町向津具 永松  忠

 5区 若雌の2     優等賞「たかざくら」   日置町    羽崎 忠雄

 8区 繁殖雌牛群区   2等賞「よしいときよ9」 阿東町嘉年  永安 定紀

                「よしかずさち7」 阿東町嘉年  永安 定紀

                「よしまつもり3」 阿東町嘉年  村本 晋治

                「とくたかゆり」  阿東町徳佐  滝  智寿

 11区 父系去勢肥育群区 1等賞「豊光茂」     阿知須町   福嶋 経男

                「光藤良」     油谷町    花岡  滋

                「大木」      油谷町    窪田 勝美

 4年間の月日と膨大な労力を費やして出品に向け頑張って下さった関係者の方々、それぞれの持ち場での努力、そして出品者の皆さんの技術と熱意・努力により、成果を上げることができたと思います。

 私にとっての全共は、何よりも人と牛が無事に山口に帰れたことにつきます。そして、今回初めて全共に出品された方から「全共に参加してよかった。」「また出品してみたいな。」ということばを聞いたとき、努力がむくわれたような気がしました。

 しかし、出品者の皆さんの要望や期待に応えられなかった事もたくさん有りました。今回の反省を生かし、次回岐阜県での第8回全共に向け頑張りたいと思います。

 写真:出品者・関係者記念写真

 写真:審査日程打ち合わせ、綿密な打合わせが必要です

 写真:開会式(入場行進;平成9年9月11日)

 写真:開会式(整列)

 写真:出品牛パレード(子牛は小さいので専用乳母車で行進)

 写真:出品牛パレード(パレードを終えて)

 写真:審査風景(4区)

 写真:審査風景(5区)

 写真:審査風景(8区)

 写真:審査風景(8区)

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