農業大学校学生と若手就農者との橋渡し

山口県東部家畜保健衛生所
  指導課主任 中 島 伸 樹

  は じ め に

 畜産農家の高齢化、 後継者不足により年々、 戸数・頭数の減少が進んでいます。 県内でも特に東部地域では、 戸数の減少による農家の点在化・孤立化が顕著になっています。  これまでの後継者対策は、 農家の子弟を中心に就農を促進し、 優れた担い手として育成するなど、 個々の農家の後継者を育成することに重点が置かれてきました。
 しかしながら、 将来の担い手問題を考えた場合、 農業の後継者をどのようにして確保していくかということが重要です。 つまり、 農家の子弟に限らず、 新規参入も含めて幅広く人材を確保するといった後継者対策が不可欠であり、 他の産業と同様に積極的な人材確保に取り組む必要があります。


  仲間づくりの支援

 農業後継者の教育機関として本県には山口県立農業大学校がありますが、 農大生は、 漠然とした就農への夢は持っていても具体的な話になると不安が多いものです。 そこで、 若手就農者へのつながりを持たせること、 就農のための問題点や具体策の情報を提供すること、 畜産現場を預る家畜保健衛生所とのつながりを持たせること等を目的に、 昨年度から管内出身で農業大学校に学ぶ畜産専攻の学生と、 管内で畜産関係の仕事に従事し始めたばかりの若手就農者との懇談会を開催し、 若い後継者の仲間づくりを支援しています。

  実 施 の 状 況

 平成7年8月に第1回 「農業大学校等在学生と畜産後継者との懇談会」 と銘打って、 3名を集め開催したところ、 好評を得たので、 今回2回目として、 同テーマでこのほど柳井市で開催しました。
 メンバーは山口県農業大学校在学生3名、 中国・四国酪農大学校在学生2名で、 ともに酪農や肉用牛管理等について学んでいる男女の若者です。 一方、 若手就農者5名はこれら大学校を卒業後、 郷里の徳山市、 周東町等で酪農や肉用牛経営を実施している人たちです。
 また、 この会で良き相談相手になる関係機関・団体からは県畜産課、 関係農業改良普及センター、 山口県畜産会、 のそれぞれの職員、 それに主催側である当所からも出席しました。
 まず、 当所から、 新規就農への支援対策として研修制度や制度資金の紹介。 また、 畜産関係機関とその役割の説明を行った後、 畜産関係問題すべてを議題とした 「座談会」 に移りました。 最初に自己紹介に合わせて、 在学生には将来の夢等を語って頂きました。 その夢は 「海外研修に行きたい」 「土地を取得し、 新規就農したい」 とか 「家畜人工授精師として開業したい」 といったものがありました。
 一方、 若手就農者には後輩に対するアドバイス、 体験談等を交えながら自由に語って頂きました。
 昨年は、 「畜産情勢の紹介」 「牧場見学」 「座談会」 等と内容が多かったため 「座談会」 が時間不足となった反省から、 今回は 「座談会」 主体の時間配分としましたが、 それでも 「もう少し時間がほしかった」 との意見が出たほどです。 また中には、 本音の意見も出て、 今後の後継者育成の方向を知る上で大変参考になりました。
 この座談会の中から今後のこの会の進め方について素晴らしいヒントを得たので、 次には在学生とは別に若手就農者の仲間つくりの会を近いうちに開催したいと計画しています。



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