深川養鶏ブロイラー研究会の活動

深川養鶏農業協同組合
  生産部長 日 高 秀 次

 1 概     要

 日本のブロイラー生産は、 1988年 (昭和63年) をピークに毎年減少して来ている。
反面、 輸入ブロイラーは確実に増加しており、 下記鶏肉需給の推移の通り、 1995年 (平成7年) には、 ついに輸入物が30%を突破した。

 鶏肉需要の推移                         単位:t
区分\年次 1986
(S61)
1987
(S62)
1988
(S63)
1989
(H1)
1990
(H2)
1991
(H3)
国内生産量 1,377,037 1,432,150 1,445,320 1,423,298 1,391,220 1,356,841
輸 出 量 2,912 3,392 4,541 6,026 7,330 8,487
輸 入 量 180,110 203,755 270,630 280,772 301,356 357,949
1,554,235 1,632,513 1,711,418 1,698,044 1,685,246 1,706,303
区分\年次 1992
(H4)
1993
(H5)
1994
(H6)
1995
(H7)
1996
※(H8)
国内生産量 1,366,198 1,337,320 1,302,141 1,281,852 1,219,000
輸 出 量 7,471 5,636 3,347 2,797 3,000
輸 入 量 405,583 401,279 454,227 535,955 520,000
1,764,310 1,732,963 1,753,021 1,815,010 1,736,000
(注)鶏肉の輸入肉は、七面鳥を含む            ※見込

 ブロイラー不況と老齢化の為、 深川養鶏農協の農家戸数も、 昭和59年をピークに年々減少して来ている。
 この様な状況の中で、 養鶏農家の若手19名が集まり、 毎月熱心に勉強会を行っているので紹介する。

 2 組織と活動内容

 名 称 ブロイラー研究会
 会 長 1名   副会長 1名

 毎年12月頃、 来年度の目標設定数値を決め、 目標数値に向かって努力すると共に、 毎月1回、 飼育方法の検討・経営内容についての検討を行う。
  平成7年度 目標数値                 実  績
    育 成 率  98.00                97.986%
    飼料要求率=飼料摂取量÷出荷重量 2.2以下      2.187
  平成8年度 目標数値
    育 成 率  98%
    飼料要求率 (1アウトで)               2.2以下
  「ブロイラーは、 孵化後30〜35時間で約40gの雛を農家に渡し、 55日間飼育して、 2.8kg程度の体重に育て上げ、 出荷するもので、 日齢により入雛時35℃→出荷時18〜20℃と適温が変化する。
 又、 適当な換気も必要で、 この換気量も外気温により必要量が変わってくる。 外気温0℃時の体重1kg当たりの必要換気量は、 0.03リッポウメートル/minであるが、 30℃時の必要換気量は0.13リッポウメートル/minと外気温の変化により、 夏と冬で5倍以上の差があり、 日齢及び季節に応じて、 細かい飼育管理が必要である。」


研究活動風景
 ブロイラー研究会員の中には、 積極的にパソコンを導入している人もおり、 研究会資料も自分達で作成する。

 3 ブロイラー研究会に毎月提出される資料 (研究会のメンバーが作成)

 (1) 育  成  率
育成率/商品化率 (研究部会) 平成8年1月入雛

研究会員及び組合員平均の育成率 (総出荷羽数÷入雛羽数) 及び商品化率(上物率÷入雛羽数) で組合員平均の育成率が97.78%に対して、 研究会費の育成率は98.17%と好成績である。

 (2)下物及び廃棄の内訳
平成8年1月26日入雛
    ♂入雛羽数  8,200    ♀入雛羽数  8,150
胸うち足異常その他腹水削痩死鳥合計下物率
413155222921802.20
216147133701792.18

 ♂の下物率のトップは胸うちの23%であるが、 ♀下物率のトップは足異常の34%となっている。

 (3) A  会  員
ブロイラー飼育成績表
鶏 舎  Aロット(15.16.17号) Bロット(18.19.20号) ロット合 計
入雛月日
飼育坪数
坪羽数
平成8年1月26日
318
51.42
平成8年2月6日
 
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318
51.42
入雛羽数
♀入雛羽数
♂入雛羽数
16,350
8,150
8,200
  16,350
8,150
8,200
♀ 出 荷 羽 数
♂ 出 荷 羽 数
♂♀ 出 荷 羽 数
8,176
8,162
16,338
0 8,176
8,162
16,338
♀ 一 級 品 羽 数
♂ 一 級 品 羽 数
♂♀一 級 品 羽 数
7,997
7,982
15,979
0 7,997
7,982
15,979
♀ 一 級品出荷重量
♂ 一 級品出荷重量
♂♀一級品出荷重量
20,925.50
24,446.00
45,371.50
0 20,925.50
24,446.00
45,371.50
♀ 平 均 体 重
♂ 平 均 体 重
2,617
3,063
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2,617
3,063
平 均 出 荷日齢
♀ 出 荷 日 齢
♂ 出 荷 日 齢
56
53
   
育 成 率
♀ 育 成 率
♂ 育 成 率
商 品 化 率
♀商品化率
♂商品化率
99.927%
100.319%
99.537%
97.731%
98.123%
97.341%
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99.927%
100.319%
99.537%
97.731%
98.123%
97.341%
飼 料 量
平均体重
飼料要求率
羽当飼料消費量
坪当生産重量
下物率
97,500
2,839
2,149
5,963
142,678
2.197%
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97,500
2,839
2,149
5,963
142,678
2.197%
雛 代
飼料代
薬品代
光熱費
共済積立
費用合計
1,081,335
3,719,306
89,150
205,114
181,486
5,276,391
0
0
1,081,335
3,719,306
89,150
205,114
181,486
5,276,391
出 資 金 額
差 引 利 益
羽 当 利 益
坪当利益
kg当利益
kg当生産費用
6,851,097
1,574,706
96
4,952
35
116
0
0
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6,851,097
1,574,706
96
4,952
35
116

 A会員のブロイラー飼養成績表で1坪当たり利益4,952円と、 1月入雛分でトップの利益率である。 トップの成績を出した会員は、 飼育状況について詳細に報告する。

 4 パネルディスカッション

 平均8年4月4日、 長門市 「藤永旅館」 に於て、 組合員・職員60名を集めて、 パネルディスカッション方式で熱心に意見交換を行ったので、 その内容について紹介する。

ブロイラーの飼育管理について
  (検討項目)

 (1) 入  雛  時
   @ 鶏舎内温度 (特に冬場) …………… 温度不足時の緊急処置
   A 照   度
   B 給餌量・給水量の目安 (餌付日)
   C 雛の分布状況
   D 温度 (ブルーダー内)
   E 坪当たり飼育羽数

 (2) 飼育管理のワンポイント・アドバイス
   @ 自動給餌機の取付け時期
   A 床 面 管 理
   B ガード除去の時期
   C 前期用飼料の給与量
   D 換羽時期に対する管理
   E 廃温時期とその方法
   F 出荷前の室内温度
   G 送風機の使い方

 (3) これからのブロイラー経営のあり方
   生産コストの削減
   現在の相場、 生産コストを考慮した生産規模拡大

 以上の項目について、 パネラー同志又は、 会場の組合員とパネラーとの間で質疑応答が行われ、 結論は出ないまでも、 非常に参考となった。

 5 今 後 の 課 題

 平成8年10月現在、 地どり飼育農家 (11戸) を除く、 ブロイラー生産者 (52戸) の平均年齢は54.9歳であり、 その内70歳以上の生産者は5名、 60歳以上は19名に登る。 10年後には、 平均年齢が60歳を超えると予想され、 同時に飼育羽数の減少が予想される。
 新規の組合員が望めない状況の中で、 深川養鶏農協生産部 (指導業務を行う部所) と協力して、 研究会の活動を通じ、 最も効率良く、 最も生産原価の低くなる、 飼育規模・飼育方法をみい出し、 生産性を上げると共に、 組合全体の飼育羽数の減少を研究会会員に増羽に因り、 どの程度カバー出来るかが問われている。



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