平成8年度
(特に畜産アドバイザー巡回指導結果から)
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最近の酪農業は生乳の生産調整及び乳価の値下、更に低コスト生産を迫られる厳しい情勢のなか、各酪農家は耐えまざる努力と精進をされています。 現在、健全な酪農経営を進めるためには、高能力で強健性のある乳牛の確保が不可欠の要素であり、次に牛の耐用年数を伸ばすことにあります。 このためには最良の技術を酷使し細心の注意を払って、飼育管理を行い牛を順調な繁殖のサイクルに乗せなければならないことであり、これが酪農家にとっては常に大きな課題となっています。 そして酪農業で泌乳量の増加を望むことは当然の事ながら、各酪農家が一番苦労されていることは繁殖成績の向上です。受胎率の良否は経営を支配するとさえ言われる程、重要な課題です。これは酪農家は勿論のこと、獣医師、人工授精師等の繁殖に携わっている誰もが共感することです。 その授精の要点は新鮮な精子と新鮮な卵子を合体させることです。このために適期授精が基本であることは勿論ですが、これを怠ったための不受胎は繁殖障害とは言えないと思います。 北海道のような草地型酪農に比べ、山口県の酪農は、いわゆる都市近郊型(濃厚飼料依存型)酪農では、乳牛は受胎率の低下の傾向があると言われています。これは良質粗飼料の不足が原因と言われ、濃厚飼料の過給、運動不足、適正を欠いた飼養管理からくる障害と考えられます。 そこで、杉山アドバイザーと関わった各酪農家の牛で、特にボディコンディションから見た飼養管理対策は勿論のこと繁殖障害問題や疾病、事故について現状と問題点を調査し、今後の対応について検討していただき、これを整理し報告書として取りまとめました。これが皆様方の今後の飼養管理に参考になれば幸いです。 なお、今回は原稿の執筆と文献の整理をお願いした畜産アドバイザー杉山利夫氏に、また写真を提供していただいた畜産試験場、農業共済組合連合会に深甚なる謝意を表します。
平成9年3月
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社団法人 山口県畜産会
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