肉質改善期待の但馬牛2頭を導入

山口県畜産課

 去る平成8年6月20日、 兵庫県美方郡湯村家畜市場において兵庫県種雄牛育成組合が開催した兵庫県種雄牛展示即売会 (以下、 オークション) おいて、 本県は2頭の但馬牛 「幸鶴」 号、 「第1福鶴」 号を導入した。

 今回の導入は、 昨今の肉用牛農家を取り巻く厳しい諸情勢の打開策の一つとして、 平成8年度から3ケ年の予定で毎年2頭ずつ、 計6頭の種雄牛を導入する優良種雄牛緊急導入事業によって実現したものである。

 今年度導入した2頭は、 県関係者及び地域代表者の約30名からなるプロジェクトチームによって、 子牛市場のニーズに応えうるものとして、 肉質 (脂肪交雑) 改善に評価の高い但馬牛をターゲットにおき、 年度当初からその現地調査、 情報収集等を実施した結果、 選定されたものである。

 そのため、 プロジェクトチーム内でも2頭の肉質改善能力は非常に高く評価されるとともに、 その凍結精液の活用についても十分な検討がされた。

 特に、 2頭の肉質改善能力は素晴らしい反面、 増体能力が劣るため、 体積のある雌牛への供用を基本に活用することとなった。 この供用の基本方針に加え、 一層の供用推進を図るため、 まず県内家畜人工授精師を対象とした研修会の開催並びに県肉用牛振興の縁の下の力持ちである山口和牛女性愛牛くらぶの研修会等において、 本牛を展示し、 その資質・品位等の素晴らしさを見ながら、 その供用方法について説明した。

 現在、 この2頭は畜産試験場において繋養され、 9月にスタートした県内への凍結精液の配布及び備蓄を順調に行い、 11月末現在で、 配布本数約1,600本、 備蓄本数も約2,700本にのぼっている。

 また、 この2頭の肉質改善能力の高さは、 県内肉用牛関係者だけでなく、 県外からも多数視察者が訪れていることから、 全国におけるその関心の高さがうかがえる。

 今年度導入した2頭の活躍が、 今後の事業展開を大きく左右するとともに、 21世紀に向けた本県肉用牛振興の要と考えられるため、 今後とも一層の支援、 協力のほどをお願いする。

   
      幸 鶴 号       第1福鶴号


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